2024/08/05 15:14

   
 蒸らしって、何秒くらいが適正なのでしょうか。
 「コーヒー 淹れ方」とかで検索してみるといろいろなレシピが出てきますし、(教科書的なものはあるにせよ)人によってそのレシピは様々です。きっと各々のレシピには思い入れや経験則などが背景にあり、レシピが人によって違うのは或いは当然のことなのかもしれません。
 そうは言ってもですね、こっちとしては困るわけですね。人によって言うことが違う、なんて。だからこそ、レシピを作るだけの力?のようなものが必要だと思っています。人から教わったレシピ通りに淹れても美味しくならなかったり(或いは好みでなかったり)することも多々あるわけで、その都度調整するだけの力や技量があれば、レシピ通りに淹れたのに、、、なんて嘆くことも減るのではないか、ということです。そろそろ本題に入ります。
 今回のテーマは、蒸らし、でしたね。そのほかの要素(抽出時間や湯量など)についてはまたの機会に。
 そもそも蒸らしって何を指していて、どうして膨らむ(或いは膨らまない)のでしょうか。答えは、炭酸ガスにあります。焙煎度によって炭酸ガスの放出量も多孔構造による表面積の大きさもだいぶ変わるのですが、一般に炭酸ガスが蒸らしに与える影響は大きく、今回はガスの放出という観点から、蒸らしを考えてみようと思います(焙煎度と多孔構造はまたの機会に)。
 コーヒー豆をグラインドしてペーパーにセットし、お湯を注ぐと、お湯と触れ合ったグラインド済みコーヒー豆から炭酸ガスが放出されます。この炭酸ガスがグラインド済みコーヒー豆全体を押し上げるようにして、「膨らむ」ように見えるんですね。じゃあこの「膨らむ」という時間で、何が起きているのでしょうか。もう少し詳しく考察してみましょう。

 お豆が膨らむということは、裏を返せば(そして極端に言えば)スッカスカなわけです。もちろん水分を吸っているので膨らんだ分全部が空気というわけではありませんが、炭酸ガスが放出され、粉と粉の間を通りながら少しずつ粉の外へ逃げて行くので、もこもこと膨らんだコーヒー豆の中では、目まぐるしく空気が移動しているわけなんですね。また、一般に焙煎度の深いお豆の方がガスを大量に放出するため、元気にもこもこしてくれます。なんとなく伝わりましたでしょうか、、、?

 要するに、お湯を注ぐとガスが出るよって話です。ガスは粉と粉の間を通って外へ出ていきます。じゃあ、ガスが移動しているその瞬間にお湯を注いだらどうなるでしょうか?
 結論、お湯と空気が混ざり合ってしまって、抽出効率が下がることとなります。抽出効率が下がると、えぐみや渋みの原因となり、俗に言う美味しくないコーヒーが出来上がります(抽出効率についても今度記事にしようかな)。長くなりましたが、つまりそういうことです。
 蒸らしの時間で何をしているか。その答えは、ガス抜きです。ようやく結論に到達できました。例えば一般的なレシピで「蒸らしは25秒」なんてものを見かけます。これはどういうことかというと、「25秒くらい蒸らせば、ガスが十分抜けるよ」ということです。お豆の内部にある炭酸ガスの量は焙煎度や焙煎してからの経過日数、保存状態等によって変化して行くのですが、「大体25秒くらいがなんだかんだちょうどいいよ」くらいに僕は捉えています(もちろん大会に出られる方のレシピは焙煎度などのことも考慮しているので、これは例外です)。

 何度も繰り返しになりますが、蒸らしの目的はガス抜きです。
 レシピ通りの時間で蒸らすのも良いですが、時にはコーヒーと対話して、蒸らしの時間を調整してみても面白そうですね。