2024/08/19 14:58


 お店では色々なカップを使っていますが、どこでも説明をしたことがなかったので、改めて。ちょっと長くなりそうです。
 お店で取り扱っているのは全部で4種類。ホットコーヒー用のカップが2種類、アイスビバレッジ用のグラスが1種類、ホットティー用のカップが1種類です。ホットのカップは、口が広く深さのないカップ(ティーカップを使っています)と、口が狭く丸みのあるカップ(いわゆるコーヒーカップです)を使っていて、提供するコーヒーによって使い分けを行っています。4種類のそれぞれちょっと解説しましょう。
 まずはアイスビバレッジ用のグラス。こちらは少し角張りながらも丸みを帯びていて、ドリンクを注いだ時に最も美しく見えそうなものを選びました。味についてはとことん研究し、とにかく自分が納得のいくものを作り込んでいますが、見た目が悪いと台無しな気もするんです。濃厚で贅沢な抹茶ラテが、薄緑色一色で出てきたら何となくもったいない感じがしますし、せっかくレモネードに生のカットレモンを入れても、輪郭がぼんやりしてしまったら興醒めです。だからこそ、角張りすぎず、丸すぎず、高級感のあるグラスを選び出しました。実はお店で使用しているグラスは、ウイスキー用のものを採用しているので、今度お店にいらっしゃる際はちょっとちょっと気にして見てみてください。
 次にホットティー用のカップ。こちらもガラス製のものを使用しています(真夏なので出番は少ないですが)。丸くてかわいいからという非常に安直な理由で選びましたが、紅茶ならではの彩りが存分に楽しめるという最大の特徴に加え、一緒に提供するティーポットとの相性が良さそうだったので、採用することにしました。今はあまり出番がないのですが、これから少しずつ寒くなってくればきっと皆様の目に留まることも増えてくるかと思います。いつかは紅茶以外のビバレッジを入れるのにも使う気がしているので、どうぞお楽しみに。
 そしてこちらが大本命。2種類あるホットコーヒー用のカップです。
 まずは口が狭い方のカップから。こちらはいわゆるコーヒーカップでして、見覚えのある形をしています。口が狭く丸みがあって、熱を逃しにくいので、一般的なカフェではこちらを採用することが多いです(というより、コーヒーカップなので当然ですね)。カップの厚みもやや分厚くなっていて、コーヒーの濃厚さやチョコレートのような甘味を感じやすいので、お店では深煎りのコーヒーをお出しする際に使用しています。深煎りのコーヒーは抽出時の湯温が若干低いのですが、それでも適正な温度でコーヒーをお楽しみいただけるよう、熱の逃げにくいカップにしているという理由もあります。味、温度変化、どちらをとってもこのカップの形が理想的ですね。
 そして口の広い方のカップについて。こちらは稀にお客様からご質問を頂くのですが、店頭で扱っている口の広いカップは、ティーカップを採用しています。何となく話の流れからお分かりかもしれませんが、こちらのカップは浅煎り〜中煎りのコーヒー用に使用しています。焙煎度の浅いコーヒーは特にお店によって特徴が分かれるのですが、庭珈琲ではできるだけ飲みやすく、クリーンで香りの美しいものを目指しています。もっと言えば、冷めてもトゲがなく美味しいカップを目指していて、浅煎り特有の鮮やかさが悪目立ちしないように配慮しています。華やかな香りを楽しみながら、温度の変化とともにより味がまとまりを帯びていくその過程もお楽しみいただけるよう、薄く口の広いティーカップをあえてコーヒー用に採用してみました。実はカップ選びに一番時間がかかったのは、この浅煎り用カップで、故に味の変化も存分にお楽しみいただきたいなと、ささやかな願望も抱いていたりします。
 本来の用途とは違った使い方をしているカップもあるため、ご提供時に一瞬戸惑う方もいらっしゃるかもしれませんが、(当然のことながら)コーヒーを入れるカップには徹底的にこだわっているので、不思議な感覚も併せてどうぞお楽しみください。