2024/09/27 20:15
平日。
忙しく働く人は休日より多いはずなのに、不思議と世間は穏やかです。
都会の平日は、休日とほとんど変わらず賑やかなイメージなのですが、田舎の平日は教科書通りというか暦通りというか、とにかく規則正しくその静謐さを保っています。たまに通る車の音と、断続的なトラクターの振動。最近はちょうど新米の収穫の時期を迎え、田圃の中だけは、平日らしい異色の喧騒に満ちています。人も虫も、賑やかです。大量の泥を巻き込みながら稲刈りの任務を遂行し、タイヤにつけた大量の泥をそのまま農道に押し付けながら進むあの稲刈り機の勇姿を、都会の人は見たことがあるのでしょうか。特に見せたい、という気持ちにはなりませんが、この光景を見られている自分は、ちょっとだけ贅沢な人生を歩ませてもらっている気がします。
秋ですね。
日に日に気温は下がりゆき、エアコンのリモコンはいつの間にか居場所を失っています。天気予報を見ながら、ああ、最高気温でも30度以下とは過ごしやすそうだな、と思いながらも、少しだけ切ない気持ちにもなったりします。肌寒くもあり、じめっとした夏の尾鰭もあり。
秋って、いつからが秋なのでしょうか。
天気予報士が秋という言葉を使った日、箪笥の奥から長袖を引っ張り出した日、日の短さに驚いた日。秋の基準は人それぞれであり、他の季節と比較しても、秋とはかなり曖昧な季節なんだと思います。
個人的に秋を感じるのは、町を充満させる匂いが、1日の中で幾度となく変わった日です。朝起きて清々しいと感じる朝露の匂い、午前中の緑の匂い、おやつ時の稲の匂い、畑を焼く夕方の匂い、そして夜の土の匂い。どれも田舎者にしか伝わらないかもしれませんが、生粋の田舎者である私にとって、秋とは、こんなようなものです。
穏やかな平日の昼、テラスで作業をしながらコーヒーを飲みました。
そんな時にふと、秋の訪れを感じました。ああ、秋だなって。唐突に。
それから慌てて、ブレンドの構成を考えました。メニュー表の印刷の兼ね合いで、月末になってブレンドを作るのじゃ間に合わないんです。月の中旬くらいにはもう作っておかないと。慌ててとはいえ、実は来月のブレンドはある程度先月の段階で決まっていました。テーマは、パンプキン。9月のブレンドも滑らかで似たようなイメージだったのですが、10月のブレンドはなんというか、もっと濃厚で、バターのような甘味のあるパンプキンケーキを思わせるような、そんなブレンドです。ジュワッと甘味が広がって、それでいて嫌なロースト感を感じさせない、そんなブレンド。甘みを全面に出しすぎると胃もたれしてしまうので、かぼちゃらしいというか瓜科の植物らしいというか、とにかくドライなキレの良さも同時に感じられるように調整しています。徐々にブレンド作りも慣れてきましたね。
これから秋本番。気温が下がるにつれ、コーヒーを飲む機会も増えてきます。特にこの季節は、ホットでもアイスでもコーヒーを淹れることが多く、それだけ楽しみ方の幅が広がります。
秋の空気を体いっぱいに吸い込んで。