2024/10/16 13:03
朝。箪笥から、トレーナーを引きずり出しました。
朝晩の冷え込み。半袖にカーディガンでは、もう耐えられません。
外に出るなら上着を羽織って行きたくなり、夕方湯船に浸かれば、じんわりと体が温められる感覚になります。今日は涼しいね、なんて言い合うこともほとんど無くなり、ここ数日は、寒い、と表現することが増えてきました。そのうち、寒いとも言わなくなるのでしょうか。
そりゃもう10月なので寒いのは当然なのですが、そもそも私は10月に突入したという実感すらありません。10月ですよ?10月。今年ももう残り3ヶ月。日数にして残り77日です。毎年思いますが、あっという間ですね。ラッキーセブン。
夏真っ盛りの8月。私はサラリーマンから珈琲屋へと転身しました。
片道5分の通勤ですら汗ばむほど、熱気に溢れた夏。店頭で提供するドリンクはほとんどがアイスコーヒーと、当時期間限定で出していた、レモネード。ホットコーヒーの注文もいくらか入っていましたが、それはいずれもコーヒー通のお客様からのご注文で、私は勝手に試験を受けているような気持ちでドリップケトルを握っていたことを、今でも覚えています。店内に入れば、涼しい、の一言。お出ししたお冷は汗をかき、オーダーを伺う頃にはもうおかわりが必要。昼間の暑い時間は、町中の蝉すら黙りこくっていたことを覚えています。そんな、夏。
昔に比べ、暑い夏に抵抗を覚えなくなってきたのですが、それでも根本は冬好きです。冬は着込めばどうにかなるし、何より寒いということ自体が好きなんです。コーヒーもホットで飲めますし。
寒い日のホットコーヒーは、どことなく特別な気分を創ってくれます。日没は夏より2時間も早く、もちろん夜の時間も比例して2時間長くなっています。家に帰ってゆっくり湯に浸かり、食事を済ませ、夜のコーヒーを楽しむ。ふと時計を見ると、まだ20時半なんてこともざらにあります。夏は風呂上がりのアイスコーヒー、冬は食後のホットコーヒー。冬場はデザートが欠かせませんね。
ホットコーヒーといっても様々で、寒い日には特に深煎りのコーヒーを飲みたくなります。チョコレートのようで、バターや大地を思わせるような風味のする、そんな深煎りコーヒー。決して良い表現ではありませんが、落ち葉を思わせるような香りのするコーヒーを飲みたいと思うこともあります。寒い日に深煎りを求めるのはきっと私だけではなく、多くのコーヒー好きの方々が同一の傾向を持っていると思います(このブログをここまで辛抱強く読んでいるあなたも、きっと同じ感性の持ち主でしょう)。
ただこれも厄介な話で、別に苦いのが好きなわけではないんです。深煎りは好きだけど、苦いのは好きじゃない。矛盾しているようですが、実際問題そうなんです。なんかこう、苦いと途中からミルクを入れたくなるんです。イガイガするというか、胃もたれしそうな感じというか、そんな感じ。とにかく、苦いのはあまり好きではないんです。
何が言いたいのかというと、苦くない深煎りは、本当に美味しいということです。
お店で飲む深煎りは美味しいのに、家で飲むと苦くておいしくない、なんて方も多くいらっしゃるかと思います(先日そのようなお客様に出会ったことがきっかけで、このブログを書き始めました)。
そんな時は、お湯の温度を下げてみてほしいです。
沸騰させたお湯をそのまま注いだり、ケトルに移してからすぐ注いだり、高音で抽出を行うと、とにかく苦くてえぐくて雑味たっぷりのコーヒーができあがってしまいます。細かなプロセスやその原因を語り始めると長くなるので今回は割愛しますが、とにかく深煎りのコーヒーを高音で抽出すると、大変なんです。
適切な温度は何度です、なんて簡単に伝えられたら苦労しないのですが、お豆の状態によっても適切な温度はかなり変わってしまうので、ざっくりと。
深煎りのコーヒーを抽出する際は、ぜひ温度を80度台まで下げてみてほしいです。焙煎直後のフルシティローストとかなら、私は78度くらいで抽出することもあります。
お店で提供しているインドネシア(フルシティロースト)は、焙煎後数日置いてから提供することが多いのですが、それでも84度くらいでお出しするようにしています。温度を抑えることで味はまろやかになり、深煎り特有のイガイガ感もかなり軽減されます。ドリップの仕方について触れ出すと文章では伝わりきらず、なかなか表現が難しくなってしまうので、深煎りが苦くてたまらない、という方は是非店頭でお声掛けください。時間帯にもよりますが、落ち着いている時間であれば、ゆっくりとドリップの仕方や感覚を余すところなくお伝えします。深煎りはどうして低音が良いのが、口頭であればなんとなく上手に伝えられる気もしますので。
もうすっかり肌寒いです。暦上で言えば、秋本番はこれからといったところでしょうか。楽しみです。