2024/11/20 13:20
たまには、真面目な話を。
いつも思ったことをひたすら綴っているだけのこのブログですが、今回はちょっとだけ真面目な話をしてみようと思います。
そうですね。美味しいコーヒーの淹れ方、というタイトルにしましょう。すでに曖昧なスタートを切っていますが、真面目な内容をつらつらと書いてみようと思います。
それでは。
美味しいコーヒーの淹れ方について、です。
結論から申し上げますと、これをこうしたら絶対に美味しくなる、という絶対的な答えは存在しません。そんなものあれば、みんなやってますよね。そりゃそうだ。
ということで、美味しいという言葉の定義から入ります。
美味しいとは主観でしかなく、これは非常に曖昧な表現です。
私は和食が好きです。美味しいので。必要以上の味付けをほとんどしていない、出汁の香りや味わいを楽しむのが好きなんです。何の出汁を使っているのだろう、椎茸が少し入るだけでこんなにも香りが変わるのか、ごぼうってこんなに甘く美味しくなるのか、菊野菜っていつからこんなに美味しくなったのだろう。色々想像しながら食べる和食は最高で、満腹にならなくても幸福感でお腹いっぱいになってしまいます。
しかし一方で、和食は味が薄いから嫌い。味の濃い中華が好きだという方もいらっしゃいます。和食好きの私とは、対極の考え方です。ただ、理解はできますし、ちなみに私も中華は大好きです。どっちも美味しいのですが、ベクトルが違いますよね。運良く私は和食も中華も(そしてもちろん洋食も)好きですが、人によっては中華だけ好きという方もいらっしゃいます。その場合、私にとって美味しい和食は、誰かにとって不味いものとなってしまいます。
要は好みの問題で、美味しいとは非常に曖昧な表現なんです。
では今回のテーマ。美味しいコーヒーの淹れ方について。
今回このブログで言うところの美味しい、は、棘がなくクリアで、冷めても味にキツい特徴が出ないことを指します。
きっと庭珈琲に直接お越しいただき、実際に飲んでみた方はお分かりいただけるかと思うのですが、私の出すコーヒーは透明感があり、柔らかな印象が特徴的です。
先日お越しいただいたお客様(初めてのご来店でした)からも、どうしたらこんなに味が柔らかくなるのか、とご質問を頂きました。
ざっくり言うと、抽出しすぎない、というのが答えになるかと思います。
ざっくりすぎるので、ちょっとだけ解説を。
コーヒーって、そもそも結構いろんな味が潜んでいるんです。苦かったり酸っぱかったり、甘かったり香ばしかったり。ここでは例外の説明をし始めると止まらなくなるので、あくまで一般的な話に留めておきますが、ざっくりいうと、美味しい成分は早めに出てきて、美味しくない成分は、しばらく経った後半に出てくることが多いです(もちろん例外もありますが)。
ご自宅でコーヒーを淹れられる際は、コーヒーの抽出に時間をかけすぎていないか、そして粉の量が少なすぎないか、を確認してみてください。時間をかければ当然嫌な部分がどんどん出てきますし、適切な時間で抽出できていていも、粉の量が少なければ、その分だけ出涸らしっぽくなってしまいます。
時間だけでなく、温度も大切です。やかんでグラグラと煮立たせた熱湯とぬるま湯だったら、熱湯の方が早く抽出が進み、ぬるま湯の方がゆっくり抽出が進みそうじゃないですか(実際そうなのですが、何となくイメージできますかね。科学の実験と同じです)。時間が短くても、お湯が高温過ぎたら結局嫌な部分まであっという間に抽出されてしまいますし、時間が長くてもお湯の温度を落としていれば、嫌な部分はしばらく出てこない。かなり簡素化して話しているので厳密には違う部分も多いですが、おおかたこの理解で事足りるかと思います。
そして厄介なのが、ドリッパーの中にある粉も、全てが均一にお湯と触れているわけではないということです。
円錐型のドリッパーを想像してみてください。円錐の頂点(ドリッパーの一番下の先端)にある粉と、円錐の底面の端っこ(ドリッパーの一番上の表面)にある粉では、お湯と触れている時間が何となく違いそうじゃないですか。実際そうなんです。下の方にある粉ばかり抽出されて、表面の粉が使われていないと、下の方の粉の嫌な部分が大量に抽出されてしまいます。目には見えないドリッパーの中の話ですが、味にはとんでもなく大きな影響を及ぼします。
さて結論に戻りましょう。
ざっくり言うと、抽出しすぎない。
時間をかけ過ぎず、少しだけお湯の温度を下げ、そしてドリッパー内のお豆が均一に抽出されるようにする。文字にするとたった一文で終わってしまいますが、やってみるとこれが結構難しいんです。お湯を何度にすればいい、なんてこともありませんし、何分何秒で抽出すればいい、なんてこともありません(何となくの目安はありますが、時と場合によって結構変わってしまうので、厳密な意味における基準はありません)。
じっくり抽出したいならゆっくり落ちるドリッパーを選び、さっぱりさせたいならお湯の流れやすいドリッパーを選ぶ。個人的には、道具から入るのもありだなとも思っています。
要は、好みの問題です。
私はコーヒーを抽出する際、後半に出てくる出涸らしのような部分をあまり好まないので、美味しくない、と表現してしまうことがあります。ただ、出涸らしとはいえ、コーヒーであることに変わりはなく、逆にこっちの方が好きなんて方がいても、不思議ではありません。
話を再度ややこしくして終えようと思います。
適切な抽出は、お豆によってかなり変わります。温度も時間も、何もかもが変わります。
もうちょっと詳しく知りたいと言う方は是非、ドリップ講座へお越しください。
今回は焙煎体験もできちゃいます。