2024/12/04 19:49
MOTHER2。
やったことはないですが、大好きなゲームです。ネス。PKファイヤー。主人公は、スマブラのあいつです。
ドット絵ならではの味わいと色使い、随所に出てくる遊び心。製作陣が本当に楽しんでいたんだなと思わされる描写が散りばめられています。社会風刺的な皮肉もありつつ、強いメッセージ性が感じられます。あるいは私は稀有な例かもしれませんが、MOTHER2は世代を超え、幅広い年代の人に愛される、名作ゲームと呼んで差し支えないでしょう。ドラムカウンター式のHP減少、シンボルエンカウント、斜め方向への移動。いずれも後続のゲームに影響を与える、画期的な発明品です。遊び心の産物。
ゲームの内容に触れると、これからプレイを楽しむ方に差し支える可能性があるので言及は控えますが、総じて、一貫性のあるストーリーが魅力の作品だと思います。中途半端な目標はなく、唯一無二の明確なラスボスが存在しますし、それに向かってストーリーは進行していきます。ストーリーラインが明確だからこそ余白は目立ち、余白に散りばめられた遊び心を、ストーリー外のものとして(純粋な遊びとして)楽しむことができます。メインとサブ。陰と陽。メインがなければサブは存在しませんし、陽がなければ陰も存在しません。もちろん、逆も然り。持ちつ持たれつ。
MOTHER2がそうであるように、強烈なメインは見るものを魅了し、コアなファンを獲得するはずです。
強大な敵でも、圧倒的な夢でも、最高のラブロマンスでも、メインの内容はなんでも良いのですが、誰がどう見てもこれがメインだ、というものが必要です。MOTHER2の場合は、圧倒的な悪であるギーグに立ち向かう、というのが最大のテーマであり、メインのお話です。誰がどう見ても分かる、明確で明快なテーマです。このメインをクリアするために、さまざまなイベントが設けられているわけです。ネスがバットを持ち、ジェフが夜なべをし、さらわれたポーラを救い出し、プーが修行をする。メインを支える、重要なサブクエストが充実しています。
メインが明確だからこそ、サブやストーリーの余白を楽しむことができ、ストーリー全体をリラックスした状態で楽しむことができるんです。
そろそろ真面目なコーヒーの話にも繋げてみましょう。
私のコーヒーにおけるメインは、透明感です。
クリアで飲みやすく、冷めてからも美味しい。
いうまでもなく、私のコーヒーは、味で勝負しています。松伏で考えれば少し金額は高いことも理解しています。競合がひしめき合っているエリアでもないので、あっちの方が美味しいね、なんて話が出ることもそもそも少ないはずですし、ここまで原価のかからないコーヒーでも、美味しいと言って飲んでいただけるでしょう。誰にもわからない違いは、無いも同然です。
透明感という圧倒的なメインはしかし、飲んだ人誰もが感じられるものです。金額が少し高くても、ドリップしている人間が若造でも、飲めば納得、透明感を感じていただけるはずです。これは大いなる自信でもありますし、客観的な評価の集合でもあります。たとえ透明感という言葉を選択されなくても、飲みやすいね、なんて言葉で表現され、共通の何か(私は透明感と名前をつけていますが)を感じていただけていることは確かです。同じ言葉を使わなくても、同じ何かを感じていれば、それだけで十分です。
透明感を感じていただくために、私はさまざまなサブクエストを用意しています。
出されたコーヒーを、ぐびっと一気飲みされてしまっては、透明感を感じる隙もありません。少しずつ大切に透明感を感じながら飲んでいただけるよう、メニュー表にはきちんと味の説明を書き連ねています。私がコーヒーを運ぶ際は、コーヒーの楽しみ方を一言添えるようにしています。何を聞かれても答えられるよう、お店が閉まっている時間を大切に活用します。これらの積み重ねが、透明感を楽しむというゴールへの道標となり、価値となるんだと思います。MOTHER2の製作陣はきっと、ゲーム作りを全力で楽しんでいたはずです(プレイしたことのある方ならわかるでしょう。製作陣はきっと本気で、ゲーム作りというものを、遊んでいます)。それならば私もコーヒーを全力で楽しむべきです。楽しんでいる人の周りには、同じ熱量で楽しみたいという方が集まってくるものです。
MOTHER2。
ネスが階段を歩く音や扉の音、プレイ中に流れる様々な音楽。ちょっと手を抜いてもきっと誰にも気づかれないであろう細部にまで、こだわりが詰め込まれています。余白とは、手を抜くものではなく、メインを支える柱となるものです。
誰にもわからない違いは、無いも同然です。
でもきっと、無いも同然の違いが無いと、誰もが物足りなさを感じてしまうんだと、私は思います。
「せかいじゅうの ほかのいぬは きがついていないかもしれないけど ぼくはしってるよ。
きみたちの おかげで せかいは すくわれたんだね」
ガチャン ツー ツー ツー