2024/12/23 19:10
昨年の今日、親しい友人と高尾山に登りました。
登山経験は皆無ですが、アクティビティとして興味はありましたし、なんかちょっと自然を感じたいなと思ったんです。
電車を乗り継ぎ、京王高尾山口駅で降車。隈研吾氏がデザインした駅舎であることは後から知りましたが、観光客さながらに写真を撮ってから、登山スタートです。
やたら多様な登山グッズが陳列されたコンビニで水と温かいミルクティーを購入し、登山口へ。山頂へのルートはいくつもありましたが、可もなく不可もなく、中くらいの難易度のコースを選びました。全体の所要時間は約一時間半。ロープウェイに乗る選択肢もありましたが、自らの足で登ることにしました。最初の登り坂で上着を脱ぎ、ポケットに入れていたミルクティーはリュックへと仕舞い込まれました。比較的暖かい日だったのですが、日陰が恋しくなるくらいに汗ばみます。途中の自動販売機で三ツ矢サイダーを買い、少し寄り道を挟みながら登頂。心地よい疲労感に、空腹が襲ってきます。
朝早く起きて準備してきたお弁当を広げ、小さな達成感に天然水で乾杯。お互いが準備したお弁当をこれでもかと言うほど褒め合い、ちょうど良い満腹度合いで完食。ここからコーヒータイムが始まります。
元はと言えば、このコーヒータイムがしてみたくて、山登りをしてみたいと言う話になったんです(他にも語りきれないほどの理由があったのですが、ここではあえて割愛)。この日のために焙煎してきたホンジュラス、コマヤグア県産のコーヒー豆をリュックから出し、お湯を沸かしながらグラインド。手挽きのミルから放たれるコーヒーの香りは風向きに左右され、ふわっと一瞬だけ鼻元を掠めていきます。グラインドしたコーヒー豆をペーパーにセットし、いざドリップ。温度計は持って行っていたのですが、スケールは荷物になるからと置いてきました。温度ばかり正確で、抽出は目分量のドリップ。到底お店で出せるような味ではありませんが、それでも最高に美味しい一杯でした。深呼吸しながらコーヒーを口に含み、転がすようにして楽しむ。口角が上がり、じわじわと笑みが溢れてきます。深呼吸しながら口に含み、転がす。もったいぶって飲み下し、また、深呼吸。上がった口角は一向に下がらず、気づけば肩を揺らして笑い合っていました。幸福。
コーヒーを飲みながら他愛のない話をし(この間に三度のおかわりをしました)、来年の抱負について話したりしました。気づけば我々の両脇にいた登山家のグループは何度か入れ替わり、私たちは山頂にいるグループの中で一番の古株になっていました。まさに時間を忘れて山頂の空気を楽しんでいたんです。この日4杯目のコーヒーを飲み終え、後片付けをしてから、帰りはロープウェイに乗りました。登りとはまた違った景色が広がり、全身で自然を感じることができました。我ながら、完璧なプラン。
登山を始めてから帰りの駅に到着するまでの6時間、ほとんどスマホを開きませんでした。思い出として写真を撮るときにだけ、スマートフォンをカメラとして開き、用が終わったらすぐにしまう。山頂ではほとんど電波が入らなかったというのもありますが、これだけ長時間スマホから離れていたのは久しぶりでした。
常に通知が来ていないか心配になり、仕事の連絡が入っていないか何度も確認し、少しでも返事が遅くなったらとんでもない仕打ちが待っているのではと怯え、通知のない画面を見て安堵する。そんな生活を、もう何年も続けています。もはやこれは癖のようなもので、仕事用のチャットアプリの通知音が聞こえるだけで、心臓を鷲掴みにされたような気さえすることもありました。Instagramと同じ通知音に設定してしまっていた時期もあり、Instagramの通知にさえ怯えることも往々にしてありました。パブロフの犬。
現代社会を生きる一人の人間として、スマホから離れている時間は不安になることが多いです。完全に依存症ですね。何か緊急の連絡が入るかもしれない、返信が遅いだけで見限られるかもしれない、と恐れたりしているわけですが、意外とそんなこともありません。ほんの数時間、あるいは数日間スマホを開かなくたって、意外と影響はないんです。緊急の連絡なんて滅多にありませんし、自分が絶対にいなければならない場面なんてそうありません。勇気を持ってスマホを手放してみるか、スマホ以外のことに精を出すか、どちらかが必要だと思います。
親しい友人の影響で、最近は読書の熱が再燃しています。
私は不器用な性格なので、複数のことを同時にできません。仕事の時間は仕事のことしか考えられませんし、遊びの時は遊びのことしか目に入らないんです(それでもうまいことマーケティングしている珈琲屋があれば自ずと目に入るわけですが)。
本を読んでいる時も例外ではなく、気づけば数時間経っている、なんてこともざらにあります。普段であれば15分に1回以上スマホを確認していないと不安になるのに、他にやることができた途端、何時間でも放置できてしまうんです。それなりに通知が溜まっていることはありますが、いずれも雑談的なメッセージか、公式アプリからの連絡で、本を読んでいたこの数時間が明暗を分けたことなんて、少なくとも私は一度だってありません。
ほんの1時間だって、スマホから離れてみると、意外にも気分はすっきりします。
なんかわかんないけど、もうちょっと頑張ってみようかな、と深呼吸したくなることだってあります。
毎日スマホから離れる時間を取るのはハードルが高く、ちょっとだけ難しそうな気もしますが、1日くらいなら結構できる気がします。
12月29日、20時から0時まで、庭珈琲にて、夜会を開催します。誰も来なくても、1人でひっそりとお店を開けるつもりです。
BGMもかけず、コーヒーを飲めるタイプの図書館みたいなイメージで。本を読めとは言いません。ただひたすらにぼーっとしてもいいですし、イヤホンをして(音漏れしなければ)映画鑑賞をしてももちろんOKです。テラスも暖房をつけるので、ソファでうとうとしても良いでしょう。とにかく、自由です。音のない店内で、各々が自由に過ごす。年末に向けて、深呼吸する時間を取りたいんです。
デジタルデトックスなんてかっこいい言葉が使えればよかったのですが、私はただ落ち着いた時間を過ごしたいだけなので、ちょっと違う気もしています。
お店には私がおすすめする小説を何冊か持ち込もうと思います。ご入用の方は店主までお声掛けください。
いいですか。音のない空間です。
皆様どうか、お静かに。
細かな内容は、Instagramをご確認ください。